手足に起る動脈硬化を「閉塞性動脈硬化症」といいます。初期には足が冷えたり、しびれたり、ひどくなると壊疽を起こすこともあります。早めに治療を行うと共に、脳血管障害や心臓病が併存していないか、注意することが大切です。
血管の壁は「内膜、中膜、外膜」の三層からできています。本来この血管壁は滑らかで、そのため、血液がスムーズに流れています。ところが、動脈の内膜にコレステロールを主成分とした脂肪などが溜まると、次第に内膜が肥厚したり、中膜が繊維化したりして、血管の内腔が狭くなってきます。さらに、血管自体の弾力性もなくなり、血液の流れが悪くなります。これが、「動脈硬化」です。動脈硬化が進行すると、動脈の内腔に血小板が付着、凝集し、血栓などができて、血液の流れがさらに阻害され、最終的には完全に詰まってしまいます。動脈硬化は体のさまざまな部位に起り重篤な病気を発生させる原因になります。心臓の筋肉に血液を送っている冠動脈の動脈硬化が進むと、「狭心症や心筋梗塞」が起こります。また、頚動脈や脳動脈の動脈硬化では「脳梗塞、脳出血」などが、胸部から腹部までの間の大動脈の動脈硬化では、「大動脈瘤」などがおこってきます。そして、手足の血管の動脈硬化が進んで起こるのが「閉塞性動脈硬化症」です。
閉塞性動脈硬化症には、症状で重症度を判定する「フォンテン分類」という方法があり、次の四段階に分かれています。
また、閉塞性動脈硬化症の人は、「心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、脳血管障害、高血圧、高脂血症、糖尿病」などの病気を併存していることが多く、閉塞性動脈硬化症の患者さんの死因の約75%がこれらの病気でしめられています。