全身性エリテマトーデス(SLE)は、全身性の自己免疫疾患の代表的な病気です。患者さんの数は、自己免疫疾患のうちでも、「慢性関節リウマチ」に次いで多くなっており、日本には約5万人の患者さんがいると推定されています。患者さんは女性が多く、10~20歳代の若い年代で発症するケースが、最も多く見られます。
全身性エリテマトーデスは、膠原病の一つで、免疫機能の異常により、結合組織に炎症が起こります。結合組織は全身にあるため、あらゆる臓器や組織に症状が現われる可能性があります。全身性エリテマトーデスの症状は非常に多様です。
<症状>
腎臓や肺などの臓器に炎症が起き、「腎炎」や「肺炎」などを起こすことがあります。そのほか、あらゆる臓器で障害が起こる可能性があります。特に注意が必要なのは、腎炎です。腎炎は、半分くらいの患者さんに現われます。場合によっては腎炎が進行して、腎不全をおこすこともあります。
これを蝶形紅斑といいます。「関節痛」も、この病気でよく現われます。関節痛で受診し、全身性エリテマトーデスが発見されることが、最も多くなっています。寒いときなどに、指先が白くなる「レイノー現象」が現われることもあります。指先がしびれたり、痛んだりしますが、時間がたつと元にもどります。
<血液検査では次のような物質を調べます>
膠原病とは、・・・私たちの身体は、多くの細胞で構成されています。この一つ一つの細胞を結びつけて、臓器の形を作っている繊維性の組織が「結合組織」です。結合組織には、細胞同士を結びつけるだけでなく、血管から細胞へ栄養を送ったり、細胞で産生された老廃物を血管へ送ったりする役目があります。結合組織には「膠原線維」と呼ばれる、文字通り膠(にかわ)のような繊維が含まれています。膠原線維は、炎症が起こると増えてきます。怪我をすると、なおりかけたときに皮膚が硬くなりますが、これも膠原線維が増えたために起きる現象です。膠原病は、結合組織に自己免疫による炎症が起きて膠原線維が増え、その結果、さまざまな臓器に障害が起きる病気を指します。結合組織は全身にあるため、全身にさまざまな症状が現われてきます。