中耳は、鼓膜の奥にある洞窟のような器官で、その中に「つち骨」「きぬた骨」「あぶみ骨」という三つの骨(耳小骨)が並んでおり、鼓膜から伝わった音の振動を内耳に伝える働きをしています。中耳炎は、この中耳に炎症が起こる病気で、放置すると、聞こえが悪くなるなどの聴力障害が出てくるため、注意が必要です。中耳炎には、次の三つに大別できます。
①急性中耳炎・・・中耳の鼓膜に細菌が感染して起こるもので、特に乳幼児がかかりやすい病気です。急に、激しい耳の痛みを感じるのが特徴です。中耳に膿がたまって、鼓膜から膿が流れ出たり、高い熱が出たりします。赤ちゃんは痛みを訴えられませんが、よく観察すると、「不機嫌になって泣いたり、痛いほうの耳をこする」などの動作をします。
②滲出性中耳炎・・・滲出性中耳炎は急性中耳炎が原因になって起こります。中耳は、普段は無菌状態に保たれていますが、風邪をひいたときなどには、鼻やのどの奥にいる細菌が耳管を通って、中耳に侵入することがあります。こうして、急性中耳炎が起こります。急性中耳炎は数日で治まりますが、その後しばらくは、中耳に「滲出液」がたまった状態になります。滲出液は、耳管を通って鼻やのどに流れていき、一ヶ月以内になくなります。ところが、子供には、耳管の通りが悪くなりやすいという問題があります。その理由として、耳管の軟骨が柔らかいため、閉じたままになりやすいこと、のどにある「アデノイド」という組織が肥大して、耳管の出口を塞ぎやすいことなどが挙げられます。このようにして、滲出液が中耳に長くたまったままになっている状態を、滲出性中耳炎と呼んでいます。
③慢性中耳炎・・・慢性的に炎症が続き、「耳だれを繰り返す、聞こえが悪くなる」などの症状が現われます。慢性中耳炎はさらに、次のような病気に分けることができます。