夜尿症(おねしょ)

「夜尿」とは、いわゆる「おねしょ」のことです。これは、乳幼児期には誰にでも見られる生理的な現象で、実際、3~4歳の子供の約半数に夜尿が見られます。通常は、5~6歳になると、神経・内分泌系の機能や膀胱の機能が整ってきて約80%の幼児でみられなくなります。夜尿症は5歳を過ぎても週に2回以上の頻度で、少なくとも3カ月以上連続して夜間睡眠中に尿失禁を認めるものとされています。


夜尿症児の95%以上は夜尿の原因となる器質的疾患をもっていませんが、約5%では尿路奇形や尿路結石などの泌尿器科的疾患、糖尿病や尿崩症などの代謝・内分泌系の疾患、潜在性二分脊椎などの脊髄疾患、ADHDなどの発達障害が存在します。 夜尿症は乳児期からずっと持続している夜尿症は1次性と言います、5歳ぐらいで一旦なくなった夜尿症がしばらくして再びみられるようになった場合は2次性と言います。また、昼間も尿失禁がみられるか、便秘気味ではないかを確認します。


2次性の場合は脊髄疾患や精神的ストレスなどが、昼間の尿失禁を伴う場合は膀胱の器質的疾患が隠れている可能性があります。また、便秘を解消するだけでも夜尿症が改善する場合もあります。排便異常を伴う排尿異常には脊髄疾患が関与している場合もあります。 検査としては尿の浸透圧と糖尿病や尿路感染症の有無などを確認するため尿比重を含めた一般検尿、腎機能や肝機能などを確認する血液検査、さらに潜在性二分脊椎や便秘の有無を確認する腹部レントゲン撮影を行います。また、昼間の尿失禁や排尿異常が疑われる場合には腎臓と膀胱の超音波検査と尿流測定を行います。


夜尿症は覚醒障害を基盤として、抗利尿ホルモンの日内変動の欠如や排尿機能の発達遅延が加わって起こると考えられています。 夜尿の有無は、①夜間睡眠中に尿意による覚醒があるか?、および②覚醒のない場合は夜間尿量と膀胱容量のバランスが適切かで決まります。夜間尿量が多くても覚醒してトイレで排尿するか、膀胱容量が夜間尿量を上回れば夜尿は起こりません。また、膀胱容量が小さくても夜間尿量がそれ以下の場合にも夜尿は起こりません。日本では夜尿症の病型を多尿型(多量遺尿型)、膀胱型(排尿機能未熟型)、混合型の3つに分けて、それぞれに適した治療を行います。


多尿型(多量遺尿型)は夜間にたくさんの尿がでるタイプです。神経・内分泌系の未発達により「抗利尿ホルモン」の分泌が不足したり、分泌するリズムが崩れたりして起こります。下垂体後葉からの抗利尿ホルモンの分泌量には日内リズムがあり、夜間に増加します。この日内リズムは通常3~4歳で確立しますが、夜尿症児の約1/3は夜間の抗利尿ホルモンの分泌量が不十分で、夜間睡眠中に希釈尿を大量に産生します。中には抗利尿ホルモンの夜間分泌量は正常なのに就眠直前の飲水量や塩分摂取量が過剰なために多尿をきたす場合もあります。


膀胱型(排尿機能未熟型)は膀胱の機能が未発達であるか、知覚過敏であるために、膀胱に適量の尿をしっかり溜めることができず、夜尿が起こります。膀胱・尿道は蓄尿機能と排尿機能を有しており、それらは神経排尿反射回路によって制御されています。この排尿反射回路が何らかの理由で副交感神経作用優位になると、膀胱平滑筋の収縮が強くなると共に尿道括約筋による排尿抑制が不十分になって夜尿をきたします。夜尿症児の約1/3が膀胱型で、昼間の尿失禁の合併率が高いことが特徴です。


混合型は多尿型と膀胱型の両方の要素を持っている場合に混合型と分類します。夜尿児の約1/3が混合型といわれています。


夜尿症の治療は夕方以降の飲水量を制限して、寝る前の2時間は水を飲まないなどの生活習慣を守るようにします。また、昼間は飲水制限を行いません。塩分やカルシウムをたくさん食べたり、牛乳をがぶ飲みすることも控えるようにします。睡眠時間は8~9時間が適切で、休日に長時間寝ないようにします。下痢や嘔吐を伴う風邪などにかかった場合は水分摂取が必要ですから、飲水制限などをやめることが大切です。 膀胱型や混合型の場合は、機能的膀胱容量の拡大を目的とした排尿抑制訓練をします。 生活指導を守っても改善しない場合は、薬物療法やアラーム療法の併用を考えます。夜尿症児の約2/3を占める夜間多尿や混合型には抗利尿ホルモン製剤を使用します。

「いずれ治る」とほうっておくと、体内の排尿リズムが正常に刻まれず、高校生や大人になっても夜尿が続くことにもなりかねません。特に思春期を過ぎると、単に生理的な夜尿症だけでなく、それに伴って心の問題として影響が現れるようになります。そうなると改善するまでに長い時間がかかる場合も出てきます。




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