帯状疱疹

帯状疱疹は、潜伏感染していた水痘・帯状疱疹ウイルスによる再帰感染です。その皮膚症状は通常3週間から3カ月で自然治癒しますが、皮膚症状の治癒後にも帯状疱疹後神経痛という難治性疼痛に移行することがあります。

帯状疱疹の発症率は6~7人に1人です。男女比では女性が男性に比べ25%高く年齢別では70歳代に大きなピークと10歳代に小さなピークがあり、30歳代で発症率が低く、水痘(水ぼうそう)にかかりやすい小児と接することが多く、追加免疫が得られているためと考えられます。 季節は8月が最も多く、冬場には少なくなります。


帯状疱疹は、水疱性皮膚疾患です。幼少期の水痘・帯状疱疹ウイルス初感染時は、飛沫感染によって全身性水疱性発疹を主症状とする水痘(水ぼうそう)を急性発症させます。水痘(水ぼうそう)は約90%の小児がかかる急性熱性発疹症ですが、成人初感染例では水痘肺炎などを合併して重症化しやすい。


水痘・帯状疱疹ウイルスは水痘(水ぼうそう)消退とともに脊髄神経後根や三叉神経節に長い間潜み、その後過労などで体力の低下した時に、ウイルスが再び勢いを盛り返して増殖し、神経を伝って皮膚表面に出てきて、帯状疱疹を起こします。ウイルスは神経に沿って体の表面に出てきますので、帯状疱疹は体のどこにでもできますが、なかでも、胸部脊髄神経に由来した肋間神経のある胸部にできることが多く、三叉神経のある顔面、腰部脊髄神経の関係した手足にもよくできます。同一部位の疼痛を生じるのが特徴で皮膚症状は通常3週間から3カ月で自然治癒します。帯状疱疹は神経に沿って帯状に無数の水疱ができるところから、その名がつけられています。


症状は皮膚分節の神経支配領域に沿って片側性に出現する痛みと皮膚症状が特徴です。皮膚症状が現れる一週間ほど前から、前駆痛の「ピリピリした痛み」や「違和感」などの知覚症状が起こります。この痛みは、発疹が現れると共に強くなり、発疹が治まると、ほぼ同時に治まります。同時に発熱、吐き気、下痢、排尿障害が起こることもあります。そのため、皮膚症状が出現する前は、内臓疾患や整形外科疾患による痛みと考えて受診することがあります。


帯状疱疹は、2~3日皮膚にピリピリと刺すような痛みや熱感を感じ、やがて赤く腫れて、小さな水泡がたくさん出てきます。水泡は数日で破れ、じくじくしてただれた後、乾いてかさぶたになります。この状態を「瘢痕治癒」といいます。かさぶたは、発症してから一か月ほどで自然に脱落します。 水泡(水ぼうそう)にはその中央にへこみがあり、通常は約3週間で自然治癒していきます。皮膚分節における三叉神経領域、上位胸椎領域で発症頻度が高く、皮膚症状が複数の分節にわたる複発性帯状疱疹や、全身性に散発する汎発性帯状疱疹は重症化し易いです。


痛みは一般的に、皮膚症状出現前からの前駆痛から皮膚症状に伴って出現する急性帯状疱疹痛に至り、さらに約20%は皮膚症状が治癒した後も帯状疱疹後神経痛が残存します。発症早期の痛みは炎症性疼痛が主体ですが、時間経過や重症度に応じて神経障害性疼痛の要因を帯びてきます。これらを帯状疱疹に関連した疼痛として帯状疱疹関連痛と呼んでいます。


知覚異常を伴い、電気が走るような、焼けるようななどと表現する自発痛や痛くない刺激・わずかな刺激が激痛に感じる異痛症が認められる場合は早期から神経障害性疼痛の要素が強く、帯状疱疹後神経痛に準じた疼痛治療が必要です。痛みの分類を大きく分けて急性帯状疱疹痛は炎症性疼痛、帯状疱疹後神経痛は神経障害性疼痛といえます。


帯状疱疹診断は神経支配領域の片側性の痛みと皮膚症状が特徴です。皮膚症状がなく疼痛のみの場合は診断が難しく紅斑や水泡の出現を待って診断します。 急性帯状疱疹痛の治療目的は(1)、皮膚病変の速やかな改善(2)、急性帯状疱疹痛の軽減(3)、帯状疱疹後神経痛への移行回避です。


抗ウイルス療法としては 各種の抗ウイルス薬が登場して帯状疱疹治療は画期的に進歩しました。ウイルスの増殖を抑制するもので皮膚症状の早期改善、帯状疱疹急性期の疼痛軽減、帯状疱疹後神経痛の期間短縮などの効果があります。抗ウイルス薬はアシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル塩酸塩(バルトレックス)、ファムシクロビル(ファムビル)、ビダラビン(アラセナ-A)などがあります。 疼痛治療としての 抗ウイルス療法は急性帯状疱疹痛軽減にも有効で基本的に急性帯状疱疹痛は炎症性疼痛ですから中等度の疼痛であれば非ステロイド性抗炎症薬、腎機能低下の場合はアセトアミノフェンが選択されます。使用される薬はプレガバリン(リリカ)、アミトリプチリン塩酸塩(アミプリン、トリプタノール、ノーマルン)、ノルトリプチリン塩酸塩(ノリトレン)、トラムセットなどがあります。




帯状疱疹と漢方へ

医薬品のご購入について