成長ホルモン分泌不全症の症状

成長ホルモンは正常な軟骨・骨の成長や強固な骨構造の形成、骨量の維持に作用するだけでなく、心臓、脳、肝臓、腎臓、骨格筋、脂肪組織、さらに免疫系や生殖器系を標的器官とするいろいろな作用のあるホルモンです。その分泌量は、身長が最も伸び、第二次性徴が始まる思春期前後がピークで、その後は加齢とともに低下しますが、高齢者になっても年齢相応の成長ホルモンが分泌されています。


成人成長ホルモン分泌不全症の特徴は、体組成、脂質代謝、タンパク質代謝、糖代謝、骨代謝などの異常、水・電解質バランスの障害、身体的および精神社会的機能の低下です。具体的には、易疲労感、スタミナ低下、集中力低下、うつ状態などの自覚症状に加えて、体脂肪量の増加、除脂肪体重の減少といった体組成異常、血中脂質高値や骨密度の低下などの代謝異常が認められる疾患です。そのため、日常生活における生活の質が低下し、体組成の異常から長期的には心血管疾患による死亡数が成長ホルモン正常例の約2倍であることが知られています。


体組成の異常のうち、最も問題になるのは筋肉量が減って脂肪、主に内臓脂肪が増えることです。つまり、メタボリック症候群と同じような状態になり、年齢不相応なインスリン抵抗性の亢進や動脈硬化の進展が起こり、糖尿病や心疾患などを若くして発症しやすくなります。実際、日本人成人成長ホルモン分泌不全症の患者さんの合併症保有率を成長ホルモン正常例と比べると、狭心症と肝障害の合併率が高く動脈硬化の危険因子である高血圧症、糖尿病、高脂血症の保有率もすべて成人成長ホルモン分泌不全症群で高くなっています。


成人成長ホルモン分泌不全症の発症原因として最も多いのが下垂体腺腫で、約50%を占めています。下垂体は成長ホルモンの他に、副腎皮質刺激ホルモンや甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンなどを産生する内分泌腺で、その細胞の40~50%は成長ホルモンを産生する細胞です。そこで発生した下垂体腺腫が、正常な成長ホルモン産生細胞を圧迫すると成長ホルモン産生能が低下して成人成長ホルモン分泌不全症を発症します。成長ホルモン産生細胞が腺腫化すると先端巨大症を、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞が腺腫化するとクッシング病を発症します。 また、下垂体によるホルモン分泌は視床下部がコントロールしているので、頭蓋咽頭腫や胚細胞腫瘍など視床下部にできやすい腫瘍も原因になります。




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