老人性骨粗鬆症

骨にはさまざまな役割があります。なかでも大切な役割が、支持機能、保護機能、造血機能、貯蓄機能の4つです。


支持機能とは、骨によって体を支え、姿勢を保つことです。人間をはじめとする動物が重力に逆らって動き回ったり、姿勢を保ったりしていられるのは、骨格が体を支えているからです。保護機能とは、脳や内臓などの重要な器官を外部の衝撃から守っていることです。肺や心臓を保護している胸郭、脳を覆っている頭蓋骨を考えるとわかりやすいです。造血機能も大事で、骨髄では赤血球や白血球などがつくられています。


貯蔵機能とは、人が生きていくために必要なカルシウムやリンが不足してくると、副甲状腺ホルモンなどの働きによって骨に蓄えられているカルシウムやリンが血液に溶け出します。これによって、血液中のカルシウムやリンの濃度は一定に保たれています。骨はカルシウムやリンの供給源でもあります。 骨は硬く丈夫で、一度作られるとそのままというイメージがありますが、骨は新陳代謝を繰り返し、日々作り替えられています。古い骨を壊す作用があるのは破骨細胞で、破骨細胞によって骨が壊されることを骨吸収といいます。吸収といっても、骨がカルシウムを吸収するのではなく、骨からカルシウムが溶けだして、骨が壊れていくことを意味します。一方新しい骨を作る作用があるのは骨芽細胞です。骨が壊されるとそこに骨芽細胞がとりつき新しい骨が作られていきます。これを骨形成といいます。骨吸収と骨形成を相互にくり返すことで、骨は常に新しく作り替えられています。


骨を構成するカルシウムなどの成分の量を「骨量」といい、骨量がおおければ多いほど、丈夫な骨ということになります。この骨量は、人の一生のうちで大きく変化します。骨量が大きく増え始めるのは10才代からで、30~40歳代初めに、ピークを迎えます。その後は下降線を描いていき、少しずつ骨がもろくなっていきます。どんな人でも、年をとれば骨量は減っていくものですが、ピーク時に備えておいた骨量が多ければ多いほど、骨折しやすい状態までに骨量が減少するのに時間がかかります。


最近ダイエットをしている若い人が増えていますが、骨が作られる年代に、カルシウム不足の生活をしていては、それだけ早く骨粗鬆症を招くことになるといえるでしょう。


正常な骨は骨吸収と骨形成のバランスが保たれているので、骨量は基本的に一定です。しかし何らかの原因でこのバランスがくずれ、骨量が減少すると骨が弱く、もろくなっていきます。こうした状態が骨粗鬆症です。


骨がもろくなる最大の原因は閉経です。もともと女性ホルモン(エストロゲン)には破骨細胞に対して骨吸収を抑制する働きがあります。閉経によって女性ホルモンの分泌が減少すると骨吸収が活発になり、骨芽細胞がいくら新しい骨を作っても追いつかなくなり、全体として骨量が減っていきます。骨粗鬆症が圧倒的に女性に多いのはこのためです。男性はどちらかというと骨形成がおさえられてくるタイプの骨粗鬆症が多いといわれます。閉経以外でも、加齢、運動不足なども骨粗鬆症の原因になります。こうした原発性の骨粗鬆症の他にも、さまざまな疾患や薬剤が原因となる続発性骨粗鬆症もあります。


骨粗鬆症は現在、骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患といわれています骨折や腰背部痛などの症状がなくても、骨折し易いと認められれば骨粗鬆症と診断されます。


骨粗鬆症で一番の問題は軽い外力が原因で発生する脆弱性骨折です。脆弱性骨折では椎体骨折、大腿骨近位部骨折、転倒時手首の骨折、上腕骨近位部骨折の発生頻度が高く、日本人では60歳代で7.6~14%、70歳代で37~45%となっています。 脆弱性骨折での問題は、一度骨折が起こるとまた骨折しやすくなることです。骨折が骨折を呼ぶのです。これが脆弱性骨折の連鎖です。骨折をくり返す人はもともと骨密度が低いから折れるのは当たり前と誤解している人がいますが、そうではなく、骨密度が同じでも1回折れてしまうと同じ場所も骨折しやすくなり、他の全身の骨折も起こりやすくなります。


高齢者が骨粗鬆症で骨折するとそれをきっかけに寝たきりになったり、介護が必要になることが少なくありません。社会の高齢化が進む日本では、骨粗鬆症による骨折を予防することが大きな課題となっています。


骨粗鬆症の薬には、主に「破骨細胞が骨を壊す働きを抑える薬」と「骨芽細胞が骨を作る働きを高める薬」の2種類があります。ほかにカルシウムの吸収を高める「活性型ビタミンD製剤」も使われており、現在、これらの薬が骨粗鬆症の治療薬の中心となっています。


骨粗鬆症の予防には有酸素運動や筋トレなどの適度な運動と食事でカルシウムやビタミンDを十分にとることが大事です。加齢や閉経が加わるとそれだけでは不十分なことがあります。



老人性骨粗鬆症と漢方へ

医薬品のご購入について