メタボリック症候群

肥満に加えて糖代謝異常(少し血糖値が高め)高血圧,脂質代謝異常(コレステロールや中性脂肪がやや高め)が重なった状態をメタボリック症候群(シンドローム)といいます。心筋梗塞や脳卒中など、心血管障害の危険因子となる症状を併せ持つ、非常に危険な状態です。

漢方医学の立場で診た場合、心血管障害を発症する予兆であるという点において、メタボリックシンドロームは未病に位置すると考えます。


未病とは、「病気になる一歩手前」の状態。漢方医学では未病状態から治療を開始します。ゆがんでしまった体内のバランスを漢方薬で正常化することが治療方針となります。


中医学では、肥満症を疾病として治療する場合、病因病機を、以下のように分類して処方します。


「1」:痰湿内薀


痰湿は油っこいもの、甘いものなどの食べ物や酒の飲みすぎにより生じます。痰湿が長期にわたって体内に 停滞し、内臓や皮下に蓄積すると肥満となります。痰湿の治療には二陳湯や平胃散などが基本方剤となります。


「2」:脾気虚弱


脾胃の気が不足すると、脾の運化機能が減退するために体内に水湿が停滞して肥満を形成します。
治療には健脾の方剤である六君子湯を処方します。本方によって脾の運化作用は活発になり、湿の発生が 予防されます。


「3」:お血


お血は現代病の主な原因の一つです。お血の中には脂肪が含まれており、お血の蓄積はいわゆる脂肪太り と呼ばれる肥満体を作ります。治療の際の基本方剤は承気湯であり、さらに活血作用の強い生薬を配合します。


「4」:ストレスは万病の元となります。精神的な刺激を受け情緒不安定の状態が続くと、肝気はのびやかに巡ることができなくなります。この肝気鬱結が長引くと血の流れも滞るため血?が生じ、肥満症になります。


また長期的な肝気鬱血は熱を生じ、胃熱が旺盛になると食欲が異常に亢進するため過食が続いて肥満を 導きます。


イライラ、怒りっぽい、頭痛、脇痛などの肝鬱症状が強い場合は疎肝回鬱の基本方剤である逍遥散が適します。肝胆の疾病を伴う場合には、小柴胡湯合小承気湯の加減方を使用します。小柴胡湯によって疏肝 清肝し、小承気湯によって胃熱を瀉します。


「5」:腎は水を主る「水臓」です。先天的に腎の精気が不足すると、水液を気化する機能が低下するため、全身に水が滞り、浮腫んだような肥満体となります。遺伝的な肥満傾向、薬物の副作用による肥満、高齢者の 肥満などは、特に腎虚を原因として考えなければなりません。


地黄丸類の処方は、腎虚の補益に用いられる常用方です。


肥満は重篤な疾患につながる症状として認識されなければなりません。総合的に食事療法、運動療法などを取り入れることが必要です。特に食事療法は強い意志を持たなければ継続することがなかなか困難ですが、変化をつけて気長に実行したいものです。


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