鉄欠乏性貧血

貧血の大部分は(約80%)は鉄欠乏性貧血です。若い人から老人までみられ、治療によって劇的に良くなるとともに、がんなどの重大な病気が隠されていることもあります。貧血自体による症状として、疲れやすい、顔色が悪い、皮膚が黄色みを帯びる、下肢がむくむなどがあります。貧血による酸素不足を補おうとして心臓や肺に負担がかかります。動悸や息切れが起こります。さらに、貧血を起こす原因となった病気の症状もあります。ただし、高度の貧血があっても驚くほど症状がないこともあります。徐々に貧血が進む場合は、身体が貧血に適応して慣れてくるためです。

貧血かどうかは、静脈から採血し、ヘモグロビン量を調べることで簡単に診断がつきます。男性では13g/dl以下、女性では、12g/dl以下を貧血といいます。最近は自動血球計数器で検査しますから、赤血球、赤血球指数(赤血球の大小・濃淡によって貧血を分類できる)、網赤血球(赤血球産生能の指標)、白血球、血小板などの値も同時に表示され、末梢血検査だけで血液の病気かどうかは大体見当がつきます。


赤血球は骨髄で造られ、寿命は約120日です。毎日、120分の1ずつ新しく入れ替わっていることになります。このできたての赤血球が網赤血球で、この数値が正常か、低いか、高いかによって骨髄での赤血球の産生能を知ることができます。赤血球の寿命が極端に短くなり、骨髄での産生が追いつかなくなるために起こる貧血が溶血性貧血です。網赤血球は非常に増加します。血球を造る種ともいうべき造血幹細胞の異常のため、骨髄での血球産生が低下するために起こる貧血が、再生不良性貧血です。網赤血球は減少し、白血球や血小板も減少します。赤血球の産生には、材料としてビタミンB12、葉酸、鉄分、たんぱく質、などが必要です。ビタミンB12や葉酸が欠乏しますと、赤血球の母細胞である赤芽球の分裂が傷害され、個々の赤血球が正常より大きい巨赤芽球性貧血となります。


日本人に多いのは鉄欠乏性貧血ですが、これは鉄剤を服用すれば治ります。しかし中にはなかなか治らない人もいます。これらの治りにくいケースには次のような場合があります。


①合併症がある・・・がん、慢性リウマチ、膠原病、結核、真菌感染、肝臓病、腎臓病、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症などを合併している


②鉄剤を正しく飲んでいない。・・・空腹時に服用すると、胸焼けや吐き気などの症状を訴える人が、10%くらいいます。こういう人の中には、鉄剤はもらっているけれど、副作用がきらいなのできちんと飲んでいないと言う人もいます。


③原因の発見困難、または治療困難・・・女性では生理過多、子宮筋腫、子宮内膜炎などで出血量が多くなる場合があります。男性の場合は、消化管の出血が考えられます。


もう一つ、男女を問わず貧血の原因として、わかりにくいものに溶血があります。これは、ジョギング、空手、剣道などで、足をドンと強く踏み込んだとき、足の裏の血管内で赤血球が壊れ、鉄を含むヘモグロビンが尿に排出され、鉄が失われてしまうものです。


④鉄の吸収不足・・・胃を切除すると、約3年たったころから鉄欠乏性貧血になりやすくなります。鉄は、胃酸で吸収されやすくされ、十二指腸で吸収されますが、手術後胃酸の分泌が低下しますので、どうしても吸収がわるくなります。



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