非結核性抗酸菌症の症状

非結核性抗酸菌症(非定型抗酸菌)は、呼吸器系に抗酸菌が感染して起こる病気です。抗酸菌というと結核菌がよく知られていますが、「結核菌」と「らい菌」以外の抗酸菌を非結核性抗酸菌と呼びます、結核は人から人に感染しますが、非結核性抗酸菌は人から人へは感染しません。初期にはほとんど症状がないため、健診などで見つかる場合が増えています。進行はゆっくりですが、進行すると咳や痰が持続するようになり、さらに進行すると労作時の息切れや呼吸困難が見られるようになります。薬物療法によって菌の増殖を抑制することはできますが、長期になります。 結核菌よりもかなり病原性の低い菌で、健康な人ではほとんど発病しません。抗酸菌とは、酸に抵抗力が強いという性質を持つ細菌のグループで、その代表が結核菌です。


非結核性抗酸菌は、以前は結核菌を「定型」的な抗酸菌と考えて、非定型抗酸菌と呼ばれていました。


非結核性抗酸菌は水や土壌などの自然環境中に生息しているものが多く、現在約130菌種が確認されています。そのうちの約30菌種が人に感染し、中でも最も感染頻度が高い菌種がMAC菌で「アビウム」・「イントラセルラーレ」の2種類を合わせてMAC(マック)菌と呼びます。日本の非結核性抗酸菌症の70%以上を占めています。次に多いのがカンサシー菌です。治療は、結核菌の類似菌ですので結核と同じような薬を使いますが、結核と違って確実に効く薬は現在ありません。結核菌より病原性は弱いもののかなり頑固な菌です。


日本における年間の発症率は人口10万人当たり7~8人といわれており、15年ぐらい前と比較すると数倍に増加しています。近年、非結核性抗酸菌症(肺MAC症)が増加しているのは軽度の病変が検出される機会の増加、抗酸菌の検査を行う機会の増加、高齢化や薬剤による免疫力の低下、温暖化などがあるといわれています。また、MAC菌は温水で生息するため日常生活で温水を豊富に使うようになり菌にふれる機会が増えたこと、ガーデニングなどで土壌のMAC菌に接する機会が増えたこと、なども増加原因の1つと考えられます。


非結核性抗酸菌症(肺MAC症)の主な症状は、慢性的な咳、痰、血痰、軽い発熱、倦怠感などがありますが、レントゲンでもわずかな影しかなく、感染初期にはほとんど症状はありません。多くは慢性気管支炎とか気管支拡張症などの病名をつけられていますが、普通のくすりでは改善しません。MAC菌は気道に傷害を与えるため、症状がなくても突然血痰がでて感染が明らかになる場合もあります。進行にともなって慢性的な咳や痰が続くようになり、さらに進行すると労作性の息切れや呼吸困難が見られます。 一般的に非結核性抗酸菌症(肺MAC症)の進行はゆるやかですが、中には進行の非常に早い場合があります。進行が速い場合は5~10年で肺機能が低下して致死的になることもあると思われます。咳や痰が長期間にわたって持続する場合は、非結核性抗酸菌症(肺MAC症)を疑って画像検査や痰の検査を行うことが早期発見につながります。


非結核性抗酸菌症(肺MAC症)は大きく2つの病型に分類できます。1つは結核とよく似た線維空洞型、もう1つは小結節気管支拡張型です。日本で現在増えているのは小結節気管支拡張型です。特に中年以降のやせ型の女性に多く見られます。一方、線維空洞型は男性の喫煙者に多く見られます。小結節気管支拡張型が中年以降の女性に多く見られる理由は、まだ明らかではありませんが、女性ホルモンとの関係が指摘されています。


肺MAC症の治療の基本は抗菌療法ですが、抗菌薬の中で現在最も有効性が高いといわれているのがマクロライド系抗菌薬です。クラリスロマイシンに結核菌に有効なエタンブトールとリファンピシンを加えての3剤併用療法が行われています。リファンピシンを投与できない場合はリファブチンが使用されています。 この3剤併用療法を数か月続けることで、治療歴のない症例なら70~80%が喀痰からの排菌がなくなります。しかし治療を中止すると20~30%が再燃しますので、陰性になっても1~2年は治療を継続します。ただし一旦感染すると完全に排除することはできず、持続感染していると考えられます。


非結核性(非定型)抗酸菌症と漢方へ

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