ぎっくり腰の症状

ぎっくり腰は疾患の正式名称ではありませんが、急激に生じる腰部の強い痛みに対する総称です。


ぎっくり腰は、重い荷物を持ち上げたときだけでなく、床に落ちているごみを拾う時、くしゃみをした時、子供を抱き上げた時、前かがみでお皿を洗っている時など、日常生活の何気ない動作でも起こります。


背骨は脊髄と馬尾神経を保護する役目と共に、身体を支える柱としての安定性と身体をスムーズに動かすための可動性という、相反する機能をもっています。脊柱はさまざまな靭帯によって補強されることで安定性を担保し、椎骨(椎体)と椎体の間に椎間板を有することで、なめらかな可動性を得ています。また、第5腰椎は仙骨と連結し、仙骨は腸骨と仙腸関節で連結して、骨盤の後壁を形成しています。


椎体や椎間板が生理的に正しい位置にあり、脊柱を支える数種類の靭帯が正しく機能することで、脊柱はその役割を果たすことができるのです。


何かの原因で、これらの組織のどこかに異常が生じると、なにげない動作でもぎっくり腰が起こる可能性が高くなります。椎体と椎体、あるいは椎体と骨盤をつないでいる靭帯や筋を穿通する神経などが傷害を受けることで、ぎっくり腰が発症します。


多くの知覚終末が集まっている部位(前・後縦靭帯や椎間関節の関節包など)に刺激が伝わると痛みが生じ、椎間板ヘルニアでなくても、靭帯の過緊張は痛みの原因になります。長時間に渡って同じ姿勢でいると、筋に代謝産物が蓄積すると共に阻血状態にもなるため筋性疼痛が起こりやすくなり、筋の炎症によって筋を穿通する神経が締め付けられて痛みが生じることもあります。


腰痛の起こる疾患には、ぎっくり腰のほかに、椎体骨折、腰部挫傷、椎間板ヘルニア、化膿性脊椎炎、転移性脊椎腫瘍、脊椎カリエス、脊髄腫瘍、内臓疾患、変形性腰椎症、閉塞性動脈硬化症、腰部脊柱管狭窄症など、多くの疾患があります。一般的に腰痛の80%は非特異的腰痛(原因が特定できない腰痛)と言われています。腰痛の背景には重篤な疾患や原因が特定できる疾患が隠れている場合もあります。


ぎっくり腰の特徴は、既往歴があること、痛みは安静にしていると軽減しますが、身体を動かすと悪くなります。最も大切なことは安静にして横になり腰の筋緊張を緩め、痛みの部分への体重の負担を軽減します。数日間安静にしていれば、ぎっくり腰の痛み症状はほぼ改善されます。 ただし、過度に安静にしていると過緊張になるケースがありますので、強い張りのある腰痛で痛みがそれほど強くない場合は、早めに離床して体を動かしたほうが筋の緊張がほぐれて痛みは改善します。


痛みのために生活や仕事に支障がでる場合には、薬物療法を行います。痛みの治療では非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第一選択薬になります。ただし、高齢者で腎機能が低下している患者さんや消化管出血の既往歴がある患者さん、抗凝固薬や抗血小板薬を服用している患者さんはNSAIDsが使用できないことがあります。



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